ちょっと特殊な個人再生(自己破産)の相談
収入は給与収入のみ、債務額は660万円、5年前に組んだ住宅ローンは遅れず払っており、税金は滞納していない…。
このような事案が平均的な個人再生事件であり、申立にはそれほど問題がないといえます。弁護士事務所や司法書士事務所に相談しても、多くは受任してくれるでしょうし、見通しや費用もあまり変わらないのではないかと思います。
しかし、少し変わった問題を持つ依頼の場合、弁護士によっては個人再生が利用できるかどうかの見通しの伝え方が大きく変わってきます。例えば、以下のような相談の場合、見通しが弁護士によっては大きく変わることが想定されます。
(いずれも当事務所が過去に相談を受けた例であり、すべてについて個人再生申立を行ったわけではなく、自己破産により解決したものも含まれています。)
債務に関する問題
- 複数の個人債権者がいて、再生に協力してくれるのかわからない
- 経営していた会社の借入と、代表者個人の借入の使いみちが両方混在していて、どちらの借入れを何に使ったのかがわからない
- 業務上の取引で、解約、返品や賠償責任問題があり、取引先と紛争になっている
- 一部債権者との間で消滅時効や弁済額を巡って争いがある
- 不貞慰謝料を請求されている
- 横領、詐欺を疑われて元勤務先や依頼者から賠償請求されている(裁判中を含む)
- 住宅ローンの一括請求を受けている(代位弁済後、競売申立て)
- 税金の滞納処分(いわゆる差押)を受けている
- 税務調査により追徴課税が見込まれる(あるいは追納を指示された)
- 太陽光発電、エネファーム、エコキュートに担保が設定されている(可能性がある)
- 家族、友人、会社(法人)の債務を保証している(融資保証、賃貸保証、奨学金保証)
財産に関する問題
- 複数不動産を保有していて、どれを残したいか決まっていない
- 家族、友人、会社関係者に預金口座を貸している(借りている)
- 口座売買に関与した
- 遺産を相続した(近々相続する予定)
- 親(又は妻)が勝手に自分の名義で生命保険を組んでいて、内容が分からない
- 近々、数百万円単位で保険金が下りる。
- 退職金の証明が取れない(就業規則に規定があるが、読み方がわからない)
- 社内持株や積立金制度がある
- 海外預金口座、証券・FX口座を持っている
- 海外不動産を保有している(ヒルトンなどのタイムシェア制のホテル含む)
- 友人に高額の貸付(数百万円~千万以上)を行ったが、相手は破産せずなにかと理由をつけて返そうとしない
- 事業用資産を残したい(高価な専用端末、工作機械、ダンプトラックなどの特殊車両、知的財産権、ウェブサイト、店舗内装)
- 高額資産が警察に留置されている
履行可能性(収入源と生活状況)に関する問題
- 現在、失業中(ただし就業の見込みあり)
- 現在、法人を経営している/廃業予定だが法人は破産しない
- 個人事業(あるいは法人)の事業譲渡をしてから再生したい
- 単身赴任、その他居住場所が安定しない
- 夫婦別居中(離婚係争中含む)
- 収入源がネットワークビジネス、紹介料のみ
- 仕事を複数かけもちしている
- 家族の債務を払っていて/親戚の生活を支援していて、債務が増えている
- 自宅の名義を家族に変更した(近い時期から数年前まで)
- 昨年の年収が数百万台から今年は2000万円以上に激増した。
- 数年後に定年を迎える(退職金受領の影響、退職後の収入変化)
- 配偶者が財産を使い込んだ、事情があって離婚せず今後も一緒に暮らす
- 海外在住である(あるいは赴任予定)
当事務所にはさまざまな背景事情のある相談者が来られます。
当事務所の弁護士は、違法な財産処分や財産隠匿の指示はしませんし、必ずしもご希望に沿えない場合もあります。
しかし、対応可能な範囲で、できるだけ相談者が経済的に更生できるよう一緒になって解決策を考えたいと思っています。
また、個人再生については、取扱経験が少ない弁護士が多く、実際にはできる事案でも軽々に「できません」と断られる例も複数見受けられます。
法律相談で、一人の弁護士、司法書士に個人再生や自己破産を断られた事案でも、その理由に納得できない場合/理由がわからない場合には、ほかの弁護士にも相談したほうがよいでしょう。
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。