再生の見込みが変わってしまう!減額されない債務
個人再生手続は、返済すべき債務額を5分の1~10分の1に減額できる手続きです。(自宅を残す場合の住宅ローンは対象外。)
しかし、債務の性質によっては、再生手続では減額されないないものがあります。
これらの債務については、いつ、どのように払っていくのか、あらかじめよく考えておく必要があります。
税金や国民健康保険料
借金が返せなくなった方のなかには、住民税や固定資産税、国民健康保険料など税金関係の滞納がある方もいらっしゃいます。
しかし、個人再生手続では、税金や国保料は減額・免除の対象にはなりません。
もし借金の減免を受けられても、税金の滞納があった場合、滞納処分として給与の差押などを受けて再生債務の返済ができなくなるおそれがあります。
そのため、再生の申立て前に、滞納税は分割で支払う約束をしておく必要があります。
その上で、返済が可能な再生計画を作成していきます。
→参考【コラム:住民税、固定資産税、国民健康保険料…滞納しているとどうなる?】
マンション管理費
マンション管理組合に支払う管理費や修繕積立費には、「先取特権」という優先権があります。
この特権のために、再生手続きを申し立てても全額支払わなければならず、払わないとマンションを差押えされることもあります。
そのため、自宅のマンションを処分せずに住宅ローン特約を使って残す場合には、再生を申し立てる際に滞納を解消するなどしておく必要があります。
婚姻費用・養育費
夫婦間の婚姻費用やお子さんの養育費なども、減額の対象にはなりません。
ただし、これまで述べた税金などと異なり、再生計画によって支払期限は猶予されます。
一例として、離婚調停で決められた養育費を1年間払わないまま再生を申し立てる場合を考えてみましょう。
1年分の滞納養育費は、再生が認可されると、他の債権と同じ割合に減額され、3年ないし5年間でその一部だけを再生計画に基づいて支払います。
しかし、再生計画の期間が終わると、残りの金額を一括で支払う必要があります。
そのため、再生計画による弁済期間のうちに、資金計画を考えなくてはいけません。
また、毎月発生する将来の養育費は、再生計画とは別に支払う義務があるので、注意が必要です。
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。