学資保険の継続と再生手続き―保険と個人再生10
※このコラムは、記事作成時点において当事務所が取り扱う個人再生事件に関する内容を記載したものです。財産の扱いや、申立における方針については、各専門家や裁判所によって異なることがあります。実際に申立てされる方は、担当弁護士や裁判所に確認したうえで手続きを進めるようお願いいたします。
払込期間によっては返済額に影響することも
学資保険は、子どもが小さい頃に10年等一定期間お金を積み立てたうえで、指定した時期(中学、高校、大学入試時期など)に払い戻しを受けるものです。
「保険」といっても、実体は払戻期間が限られた貯蓄といえます。
貯蓄型の保険なので、解約返戻金は大きく、払込期間が長ければ数十万円~100万円近くになっている場合もあります。
再生手続きの場合、返済額を手持ち資産以上支払うべきとの原則(清算価値保障原則)があり、この学資保険があることで返済額が大きくなる事案も多く見受けられます。
このような場合、解約するか、もしくは契約者貸付を受けて、貸付金を滞納税の支払や、弁護士費用の支払に充てて、資産額を小さくする方法があります。
中途解約すると元本割れすることや、「子どもの資金に手を付けるなんて!」と家族の反対を受けやすいので、契約者貸付を選択される方も多いです。
しかし、貸付の場合、契約自体は続くので、毎月1万円~2万円の保険料支払いが厳しい場合、思い切って解約してしまうこともあります。
(なお、学資保険は、10年以上引出しを拘束されるにもかかわらず、返戻率は110%以下(1割も増えない)であることから、資産を増やすという意味ではほとんど利益はありません。)
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監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。