財産について

損害保険と再生手続の関係―保険と個人再生2

※このコラムは、記事作成時点において当事務所が取り扱う個人再生事件に関する内容を記載したものです。財産の扱いや、申立における方針については、各専門家や裁判所によって異なることがあります。実際に申立てされる方は、担当弁護士や裁判所に確認したうえで手続きを進めるようお願いいたします。

自動車保険の種類と個人再生手続上の財産価値

今回から、3回にわたって、自動車保険などの損害保険が、個人再生手続きにどうかかわるのかをご説明します。

 

自動車保険は、強制加入の「自賠責保険」と、「任意保険」に分けられます。

さらに、任意保険には、大きく分けると「賠償責任保険」「車両保険」「人身傷害保険」といった保障があります。

  • 「賠償責任保険」…人や他人の物を自動車で傷つけた場合に加入した保険会社に支払ってもらう保険。支払限度額に違いはあるが、すべての自動車保険についている。
  • 「車両保険」…自分の車両が壊れたり傷ついたときに加入した保険会社に支払ってもらう保険。自損事故、過失減額のある事故の場合に使用することが多い。保険料が高くなるので、加入しない人もいる。
  • 「人身傷害保険」…相手が保険に未加入だったり、こちらの過失が大きい場合、とりあえず治療費や休業補償を加入した保険会社に払ってもらえる補償。最安値の保険を選ぶと除外されていることが多い。

 

個人再生手続きでは、本人または家族が自動車を保有していると、自動車保険加入の有無を確認されます。これは、自動車保険の財産価値を確認するためです。

 

自動車保険には、生命保険のような「解約返戻金」はありません。

ただし、保険料を年払いしている場合、先払い部分を「解約返戻金」と同様にみなして財産(清算価値)に計上されます。数千円~数万円の金額ですが、説明しないと手続きを進めてもらえないので、保険証券が必要になります。

(つづく)

 

保険は個人再生手続きに影響する?―保険と個人再生1
損害保険と再生手続の関係―保険と個人再生2
自動車保険の加入率―保険と個人再生3
個人賠償責任保険の財産価値と解約―保険と個人再生4
事業用賠償責任保険―保険と個人再生5
生命保険は残すべきか―保険と個人再生6
生命保険に関する必要資料―保険と個人再生7
医療保険は再生でどう扱われる―保険と個人再生8
所得補償保険は継続か、解約か―保険と個人再生9
学資保険の継続と再生手続き―保険と個人再生10

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。