自由財産となる範囲―和歌山の基準7
現金、預貯金、退職金見込額・・・控除できるのは
12回にわたり、個人再生における大阪と和歌山の違いを説明します。
個人再生では、清算価値保障の原則により、保有する財産を金銭的価値に換算して届出する必要があります。ただし、清算価値から一定額を「自由財産」として控除できます。
【→コラム「清算価値保障の原則とは」 参照】
【大阪の場合】
大阪の場合、現金と預貯金(普通預金)の合計額から99万円を控除します。
これは、自己破産の場合、99万円まで自由財産として保有が認められることと調整を図っているからです。
【和歌山の場合】
和歌山の場合、再生事件の申立人の総資産(清算価値)から99万円を控除します。
大阪の場合だと、現金及び預貯金(普通預金)のみ99万円控除であるのに対し、
和歌山の場合は、それ以外の資産(保険解約返戻金や退職金見込額など)からも99万円を控除できます。
この違いによって、「手持ちの現金、預金は少ないが、退職金(見込額)、自動車、株式等に一定程度の資産評価がある」申立人の場合、最低弁済額が大阪より下がる可能性があります。
※ このコラムは、記事作成時点での法令、各地の裁判所の運用に基づいています。実際に再生申立てを行う方は、担当弁護士や裁判所に確認したうえでご判断ください。
返済可能性シートとは―和歌山の基準1
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自由財産となる範囲―和歌山の基準7
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手続に要する期間―和歌山の基準12
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。