返済可能性シートの収入欄―和歌山の基準3
記載する「収入」の考え方
前回に引き続き、和歌山地裁で使われている返済可能性算出シートの使い方を説明します。
返済可能性シートの収入欄には、申立人本人の手取り月収を記載する欄があります。
基本的にはその手取り月収が月額生計費+返済月額を上回っていれば、返済可能性があります。
ただし、
・月々の収入では生活費が不足し、賞与で補っている家計
・共稼ぎの妻や親・子の収入を合わせている家計
の場合には、賞与や同居人の収入も計算に含める必要があります。
返済可能性シートの収入欄には、「賞与」や「配偶者収入」、「児童手当」を記載する欄があります。
返済可能性を検討する場合には、これらの収入も合算したうえで、平均値を出せばよいのです。
なお、ほかに合算できる収入として「養育費」「年金収入」「親からの援助金」などもあります。
不用品売却による収入(ヤフオク、メルカリ)や、税の還付金・臨時給付金、相続財産などは一時的な収入なので、収入欄には入れません。
※ このコラムは、記事作成時点での法令、各地の裁判所の運用に基づいています。実際に再生申立てを行う方は、担当弁護士や裁判所に確認したうえでご判断ください。
返済可能性シートとは―和歌山の基準1
返済可能性シートの使い方―和歌山の基準2
返済可能性シートの収入欄―和歌山の基準3
審尋の実施はある?―和歌山の基準4
再生委員の選任基準―和歌山の基準5
返済積立金の財産評価―和歌山の基準6
自由財産となる範囲―和歌山の基準7
財産の必要資料―和歌山の基準8
退職金の扱い―和歌山の基準9
保証人がいる場合―和歌山の基準10
資料の保管期間―和歌山の基準11
手続に要する期間―和歌山の基準12
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。