少額債権の定め―再生計画3
総額数千円~数万円の少額債権は一括返済が認められる
全8回に分けて再生計画にしたがった支払について解説しています。
第3回は、少額債権の弁済方法です。
再生計画によって元の借入額の20%~10%に減額した場合、例えば5万円程度の残債は5000円~10,000円に圧縮されます。このような金額を36回~60回で返済すると、毎月数百円だけ支払っていくことになり、非常に手間になります。
とはいえ、特定の債権者だけを先に払ってしまうと、もし返済途中で他の債務を払えなくなった場合、同じ再生手続きの債権者にもかかわらず、回収できた債権者とできなかった債権者の間に不平等が生じてしまいます。
そこで、裁判所は、原則として特定の債権者への一括返済は不許可としつつ、少額債権の定めを置いた債権者についてのみ、一括返済を認めています。
大阪地裁の場合、1回あたりの返済額が1000円以下、例えば36回払いの場合は支払総額36,000円以下、60回払いの場合は支払総額60,000円以下であれば、初回の一括返済が認められます。
少額債権の定めによって分割支払先を減らし、その後の返済管理をしやすくするためには、認可確定時点で、ある程度の積立金が必要になります。
可能な限り、積立額は多めにしましょう。
個人再生手続における「再生計画」とは―再生計画1
個人再生手続で返済総額はどうなるか―再生計画2
少額債権の定め―再生計画3
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ハードシップ免責―再生計画8
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。