債権者から「不同意」の意見を出されたら
債権者の不同意
今回は、個人再生手続きの内容をある程度知った方が気になる「債権者の不同意」について解説いたします。
個人再生手続きには、小規模個人再生手続きと、給与所得者等再生手続きの2種類があります。小規模個人再生では給与所得者再生(可処分所得による算出)と比べて支払総額が少なくなる反面、頭数又は債権額の過半数の不同意があれば棄却されるという要件が課せられます。
小規模個人再生手続きで、過半数の賛成で計画を認可する方式ではなく、過半数の債権者からの「不同意がない」限り認可される仕組みです。ですから、もともと再生計画が認可されやすいようになっています。
しかも、現状では、ほとんどの債権者は不同意の意見を出しません。かつては保証協会や、日本政策金融公庫(旧:国民生活金融公庫(国金))は一律不同意と言われていましたが、最近はそうでもありません。ただし、同意していただくためには事前の説得が必要になる場合もあります。
以上の現状から、給与所得者の方でも、支払いのことを考えて、まずは小規模個人再生手続きの利用を検討するのが通常です。
ただし、公務員共済と互助会は必ず「不同意」の意見を提出します。これらの団体から多額に借入している公務員の方は、返済額が大きくなったとしても、迷わず給与所得者再生で申立てするようお勧めしています。
このほか、小規模貸金業者では代表者や担当者の方針によって不同意意見が提出されることもあります。また、大手信販会社でも、担当者の判断や誤解によって不同意意見が出ることもあります。
当事務所では不同意意見が出た場合、会社の担当者と交渉して、不同意意見を撤回させることもあります。
さらに、過半数の不同意意見が出され、一旦棄却された場合でも、要件さえ整えば、給与所得者再生により再申立てを行って認可を得られることもあります。
どちらの再生手続きを利用するのかは、返済額の差や債権者の動向などをよく考えたうえで慎重に決定する必要があります。
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。