事業用リース物件を残すには―債務について6
事業に必要なリース物件の扱い2/2
今回は、前回に引き続き、リース物件の引き揚げを回避する方法を解説します。
事業を継続するうえでリース物件が必要不可欠といえる場合には、リース業者と協議して「弁済協定」という合意を締結します。これにより、個人再生手続きとは別に支払いを継続し、引き揚げを回避することが可能となります(共益債権化といいます。)。
もっとも、事業継続に必要不可欠ではないにもかかわらず弁済協定を締結して支払いを継続することは、再生計画不認可事由に該当します(民再法85条1項)。そして、事業継続に不可欠かどうかの判断はかなり厳しく解釈されています。
例えば、アルファードやポルシェなどの自家用車を事業用車両として弁済協定する場合、一般的には事業に不可欠とは言い難いため、弁済協定が認められない可能性が高いです。
また、事業継続に必要な資産でも、リース債務の支払いによって事業計画を圧迫すれば本末転倒です。
以上の理由から、リース品を使用している方の場合には、代替手段も検討することが多いです。
たとえば、リース車両を乗り続けて分割債務を払うよりも、同等品又はそれ以下の中古品を再調達したほうが安くつくことが多いです。
同様に、店舗用備品では古い再リースを除き、いったん解約してしまうことが多いです。
また、パソコンやホームページ、セキュリティソフトのリースについては、当事務所に限っていえばリース継続を希望した事例はありません。
このようなことから、弁済協定による共益債権化という手法は、実際の再生手続きではあまり利用されていないのではないかと思われます。
リース物件のことをもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
不動産担保ローンがあっても、個人再生はできるのか―債務について3
事業用リース物件を残すには―債務について6
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。