リース契約を維持したままの申立は可能か―債務について5
事業に必要なリース物件の扱い1/2
個人事業者の方の中には、事業資産としてリース物件をお持ちの方も多数おられるでしょう。今回は、リース債務の取り扱いについて、解説します。
小売、運送、飲食などの個人事業を営む方は、冷蔵庫やレジスター、パソコンやホームページの維持管理、電話、FAX、複合機や車両(ダンプトラックなど特殊車両含む)など、事業用資産のリース契約を締結していることがあります。
個人再生手続きでは、すべての債権者は平等に扱う必要があり、再生手続の申立人が、減額される対象の債権を選ぶことはできません。リース債務も含むすべての債権が一律に減額されるのが原則です。
リース契約では、リース物件に所有権留保特約が付いています。弁護士が受任通知を発送して債務整理に入ったことを知ると、債権者(リース会社)はリース物件を引き揚げることがほとんどです。
引き揚げられた物件は債権者によって換金され、リース債務の返済に充てられます。
しかし、その売価はリース残債務額には足りず、不足額については、他の債務と同じく再生手続きで減額して支払うことになります。
リース物件を引き上げられると業務できなくなる場合もありますので、例外的にリース物件を残しながら再生手続きを行う方法もあります。
次回は、リース物件の引き揚げを回避するための方法について、ご説明します。
リース物件のことをもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
不動産担保ローンがあっても、個人再生はできるのか―債務について3
リース契約を維持したままの申立は可能か―債務について5
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。