会社からの借り入れがある場合は?―債務について1
会社(勤務先)からの借入金
今回は、申立時点で会社から借入金がある場合、どのような点に留意する必要があるか、解説します。
申立時点で会社からの借入れが残っていれば、会社を債権者として申告し、再生手続きで返済することになります。
しかし、裁判所から再生手続きの通知が送付されると、会社には個人再生を申し立てたことや、他の借入先、借入総額などもわかってしまいます。
手続きを会社に知られずに個人再生を通したい場合には、申立までに会社からの借入金を完済することを検討していただきます。
しかし、弁護士に依頼して他の支払いを一旦停止しておきながら、会社にだけ先に全額返済してしまうのは偏頗弁済(へんぱべんさい)にあたり、会社に返済した金額が清算価値に加算されてしまいます。
借入額が少額で、他に特に財産がない場合には、手続き上の影響はありません。しかし、借入が数十万円~百万円以上の場合、今後の返済額に大きな影響を及ぼすこともあります。
再生手続きでは、申立前の返済が全く許されないわけではありません。
しかし、返済することで生じる手続きへの影響などを考慮しておく必要があります。
会社からの借入金があるが破産・再生を検討している場合、お早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
会社からの借り入れがある場合は?―債務について1
監修者情報
弁護士
吉田浩司(よしだこうじ)
専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)
2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。