手続き全般について

清算価値保障の原則とは

保有財産との関係

清算価値保障の原則とは、個人再生手続きにより減額の上返還する金額は、再生債務者の手持ち資産よりも多く払う必要があるというルールです。

このルールの存在によって、個人再生手続きでの支払額が増えたり、申立て自体を断念したりしてしまうことがあります。

例えば、時価1800万円で、住宅ローンの残額が2000万円の自宅不動産をお持ちの方の場合、仮に自宅を売っても手元にお金が残りません(オーバーローンといいます。)。

このような方が500万円の一般債務を再生で100万円に減額しようとする場合には、清算価値保障の原則からは返済に影響ありません。

しかし、同じ例で、住宅ローンの残りが1300万円の場合、自宅の価値は1800-1300=500万円の清算価値があるとして把握されます。

この場合、理論上は、500万円の手持ち資産(自宅)を処分しさえすれば、500万円の一般債務を完済できるともいえます。そうすると、500万円の債務を減額するのは不公平とみなされ、債務の減額ができなくなります。

不動産の時価のほかに清算価値が問題になるのは、(1)退職見込金が大きい方(例えば3200万円の見込金は、8分の1として400万円の資産評価)、(2)積立型の生命保険、学資保険がある方(お子様名義でも、相談者の収入で掛けていたものは対象に入ります。)、(3)トラックなどの高額な事業用資産をお持ちの方などがあります。

財産の評価方法には、それぞれ細かなルールがあり、しかも、裁判所毎に少しずつ異なるため、詳しくお聞きになりたい方は当事務所の来所相談をご予約下さい。

監修者情報

弁護士

吉田浩司(よしだこうじ)

専門分野:債務整理事件(任意整理・個人再生・自己破産など)

2004年(旧)司法試験合格 2006年弁護士登録、2010年8月にTMG法律事務所開業。任意整理、個人再生、自己破産等の債務整理事件に数多く取り組んでいる。特に個人再生の取扱が多い。